Race Reportレースリポート
Alfa Romeo Challenge ARC/関東第4戦
『父娘の絆』
MR200 No.422 内海直亮 (杏珠)
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STiLENiA DRIVERS LINEUP
[SR]No.1 上松淳一
[SR2]No.11 高梨宏幸
[MR300]No.10 木村隆哉 No.39 西澤嗣哲 No.88 高山雅人
[MR200]No.41 川井聖一 No.77 瀬上透 No.422 内海直亮
[AR300]No.30 伊藤由明
[AR250]No.321 原田好成
[AR150-1]No.15 渡辺幸雄 No.100 前田一郎
[AR150-2]No.65 國生正義 No.66猪股義周
[AR150-3]No.38 笹原敏浩
[AR150-4]No.67 関山淳
[AR150-5]No.155 森本聖
[AR150-7]No.818 深野泰章
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【躍動したあっず号】
「あずー!ちち、やったよー!」
そう言って、スティーレピット前に戻って来るなり、あっずが愛娘に駆け寄って行く。興奮しているのか、幾分(いくぶん)顔を赤らめている。
ラジアルのAR150-3クラスで全国チャンプまで上り詰め、もう一つ上の高みを目指し飛び込んだ、ドンガラ、SタイヤのMR200クラス。
最初はSタイヤの特性も掴めない、ライバルにも全然絡めない、出ればドンジリ一人旅に気持ちが折れかけた時期もあった。
「ライバルに絡みたい。もっとレースがしたいんだ!」
師匠と慕うアゲマツにも「今は次のステージに上がる為の踊り場みたいなもんだから、辛抱の時だよ、あっず!」とアドバイスを貰い、MRクラスに上がって2年が流れた。
やっと同じクラスのライバルとも絡めるようになって来た5月のアルチャレで、痛恨のエンジンブローでリタイアに沈む不運に見舞われる。
もはや身体の一部と言っても過言ではない"あっず号"と離れること4ヶ月。この9月のアルチャレにアゲマツも"あっず号"をキチンと合わせて仕上げて来た。
シェイクダウンも兼ねた予選から、離れていた時間を取り戻す様に、"あっず号"をレコードラインに乗せ、駆け抜けるように躍動する。
MR200クラス6台中、2'08.707。見事ポールを勝ち取ってみせた。
迎えた決勝。スタート後の1コーナーに果敢(かかん)に飛び込んで行く。SR2クラスの#11ぴたおとサイドバイサイドで喰らい付き、続くコーラに絡み合うように消えて行った。
2周目の1コーナーでは、今度はぴたおのインを差し、華麗にオーバーテイクを決める。
これには1コーナースタンドから観戦していたアゲマツも興奮を隠せない。
「えっ?あっずが抜いた〜!?」
続くコーラで直ぐにぴたおも抜き返す。同門、ライバル含め、MR200、SR2クラスのライバル達と鎬(しのぎ)を削り、終始"あっず号"が躍動している。やりたかったレースが出来ている。ストレートが2.0Lとは思えないくらい速い。4周目に刻んだ最高速は205.206km。
ダンロップから13コーナーへ続く後半のテクニカルセクション。
此処(ここ)でもぴたお号に必死に喰らい付く。抜きつ抜かれつの最高のデッドヒートを繰り返し、プリウスを綺麗にトレースして駆け上がって行く。そしてチェッカー!!掴んだ栄冠は圧巻の"ポールトゥウィン"。苦節2年目にして悲願のMR200クラスの頂点に立った。
MR200、#422あっず 2'09.848 決勝総合21位/クラス1位。
16:20〜 クリスタルルームで行われた表彰式。表彰台の一番上に愛娘の"杏珠(あず)"と昇り立つ。
いつも一緒に居る仲睦まじい父娘の表彰式に会場の空気もほっこりと和んだ。
おめでとう!あっず!!!
【復帰組、箱替え組、それぞれのARC】
富士の裾野に爽やかな秋晴れが広がる。
絶好のサーキット日和となったARC関東Rd.4。STiLENiA勢のARC参戦は、5月の関東Rd2.以来のFSWとあって、どのドライバーも緊張感の中にも、真剣味を覗かせた顔付きである。全18台のエントリーで臨む。
注目は、MR200クラス。156 2.5V6から"旧めぐりん号"のMiTo1.4Tに箱替えした#41川井と、由緒ある145を増車した#77セガミン。そしてそれを迎え撃つ#422あっず。痛恨のエンジンブローで散った5月から4ヶ月。深い眠りから覚めて、シェイクダウンに自信を漲(みなぎ)らせる。役者揃いな激戦区の様相に期待に胸が高鳴る。
AR150-2クラスの"長老"#66猪股も、代名詞と言うべき黄色い145から156 2.5V6へ箱替えして来た。箱替えしても黄色いボディに拘(こだわ)るのは流石(さすが)。
そしてMR300クラスには、久し振りに"天才肌"の#10きむぅーの156GTAが帰って来た。
【どうした?アゲマツ!】
エントリーリストに、SRただ一人、名を連ねていたアゲマツを不運が襲う。
万全の準備で臨んだ朝一のプラクティスで早々のリタイヤ。原因はメタル焼き付き。本人は皆の心配を余所(よそ)に、一日メカに徹する覚悟が出来た様で、サポートを楽しんでいる様にも見える。
【それぞれがブランクを取り返す】
11:00 プラクティス開始前。
各自、走行前点検を済ませ、コースに飛び出して行く。
145に箱替えした#77セガミンが極度の緊張感に襲われている。勝手の違うドンガラ、Sタイヤに、持ち前のポジティブ思考が影を潜(ひそ)めている。#10きむぅーも久し振りのスプリントレースにナーバスになっていた。
そんな2人を始め、各ドライバーに対して、スティーレ走行会の講師である飛雄が平常心を保てるように、積極的に声を掛けメンタルを整えて回る。頼もしい存在である。
【冷静と情熱の原田】
12:56 レースA予選開始。
AR250、#321原田が2'11.570の総合3位/クラス3位を筆頭に、
AR150-2、#66猪股 2'15.169 総合17位/クラス4位。#65國生 2'16.765 総合23位/クラス6位。
AR150-7、#818はいぱー 2'16.580 総合22位/クラス2位。
AR150-5、#155森本 2'18.048 総合29位/クラス1位。
AR150-3、#38笹原 2'18.397 総合30位/クラス4位。
AR150-4、#67関山 2'20.360 総合35位/クラス3位。
安定の#321原田が決勝で1位を獲れるのか?
老獪な"長老"#66猪股も上位陣を食うのを虎視眈々(こしたんたん)と狙っているに違いない。
【クレバーさが光る展開】
13:28 レースB・C予選開始。
SRの居ないB・Cクラスを群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)のガチンコバトルとなったMR300クラスが引っ張って行く。
MR300、#39西澤 2'02.120 総合8位/クラス5位。#10きむぅー 2'02.257 総合9位/クラス6位。#88高山 2'05.577 総合15位/クラス11位。
SR2、#11位ぴたお 2'07.690 総合18位/クラス1位。
MR200、#422あっず 2'08.707 総合21位/クラス1位。#41川井 2'10.930 総合26位/クラス3位。#77セガミン 2'13.325 総合29位/クラス5位。
AR300、#30よしあき 2'09.226 総合23位/クラス1位。
AR150-1、#100前田 2'10.695 総合25位/クラス3位。#15コジパパ 2'11.518 総合27位/クラス4位。
レースAは#321原田が、レースB・Cは#39西澤がレースを引っ張る。STiLENiA随一(ずいいち)のクレバーな二人の巧(うま)さが光る展開となった。
【MiTo/gtv/ABARTH、三つ巴(どもえ)バトル】
14:04 レースA決勝。
ポールポジションのライバル"おの金"MiToが1コーナーを抉(えぐ)って行く。#321原田操る真紅のgtvが3Lのトルクを活かし、2位のジュリエッタを交わして、インを取った4位の"スリーハンドレッド"の山ちゃんアバルトのアウトに並んで1コーナーに飛び込んで行く。
中盤を形成するグループも次々と1コーナーへなだれ込む。
#66"長老"黄色156、#65國生はアウトから、#818はいぱー、#38笹原はインを差して行く。遅れて#155森本、#67関山も続く。
原田は、続くコーラでアバルトの後塵(こうじん)を拝(はい)し3位となるも、その後きっちりアバルトを差し2位に浮上。中盤には1位を走るMiToを1コーナーでオーバーテイクし1位を奪取するも、直ぐに抜き返され2位。ダンロップからの後半セクションのこの3台の攻防は手に汗握るスリリングな展開。一瞬のミスが順位を取り零(こぼ)す肉薄戦にオーディエンスの興奮は最高潮。見応え十分なレースだった。
AR250、#321原田 2'11.494 総合2位/クラス2位。
#66長老も、箱替えで臨んだ今回のレース。終始、別クラスのMiTo、145と三つ巴のバトルを展開し気心知れた接近戦を存分に楽しんだ模様だ。
AR150-2、#66猪股 2'14.696 総合15位/クラス4位。
#65國生 2'16.039 総合21位/クラス5位。
AR150-3、#38笹原 2'16.610 総合25位/クラス4位。
AR150-4、#67関山 2'20.128 総合33位/クラス3位。
AR150-5、#155森本 2'16.547 総合28位/クラス1位。
AR150-7、#818はいぱー 2'16.760 総合27位/クラス2位。
【躍動したMR300クラス】
15:01 レースB・C決勝。
#39西澤が順位を落とさずに1コーナーのインを最短で回っていく。その後ろを#10きむぅーセンター、#88高山アウト側のラインを取り、MR300勢が混戦を抜けて行く。
続いて直ぐに、AR300よしあき、SR2ぴたお、MR200あっず、AR150-1前田、コジパパ、MR200川井、セガミンと所狭しとなだれ込む。
西澤が安定してラップを刻むのと対照的に、久し振りの参戦となったきむぅーのラインに迷いが見える。2周目の1コーナーを大きく外に孕(はら)んだかと思うと、続くコーラは綺麗にアウトインアウトで抜けて行った。序盤ハラハラさせるも終盤になるにつれてアジャストしクラス3位を掴んだ。
ピットに帰還後、「ポディウムの真ん中に立てなかったけど、久し振りのスプリントで完走出来て、嬉しかったぁ〜!」とアゲマツに感謝の抱擁と満面の笑みでレースを終えた。
MR300、#39西澤 2'01.956 総合4位/クラス2位。
#10きむぅー 2'02.927 総合5位/クラス3位。
高山の目の前で、ETCCクラスM3がダンロップでスピンするも冷静に回避し13コーナーを駆け上がって行く。
本人曰く「伸びが今一つ。MR300を闘うにはアップデートが必要ですわ」
#88高山 2'05.539 総合13位/クラス9位。
SR2ぴたおとMR200あっずの前を、露払いのAR300のよしあきのGTが疾走する展開。ぴたおは先行を許したSR2のライバル145との差を、周回を重ねる毎に徐々に詰めていく。13コーナーの登りを伸びのある加速で駆け上がっていく。終盤によしあき、ライバル145をオーバーテイクし、貫禄のSR2クラス優勝。さすがSTiLENiA総監督。
SR2、#11ぴたお 2'09.047 総合18位/クラス1位。
AR300、#30よしあき 2'09.126 総合20位/クラス1位。
150-1の前田、コジパパも混戦のなか踠(もが)いていた。
前田も序盤ダンロップで大きく孕んだり、リズムに乗れていないながらも、後半立て直しフィニッシュ。
コジパパは後半1コーナーでブレーキ抜けによるコースアウトによりリタイアとなった。
150-1、#100前田 2'11.282 総合24位/クラス3位。
箱替えでMR200へクラス替えとなった、川井、セガミンも慣れないマシンと対話しながら周回を重ねているようにも見える。
共に箱替えして臨んだ今回のアルチャレ。レース当日がほぼシェイクダウンに近い中、2台とも徐々にマシンの特性と走りをモノにしていく。
川井はMiToのターボを生かし、13コーナーからの登り坂を力強く駆け上がり、同クラスのライバル、あっずに迫る追い上げを見せる。
セガミンも145の軽量のアドバンテージを生かし、前を走る重量級の巨艦166を駆る前田に喰らい付いていく。
次戦に期待の掛かる光る走りを披露した。
MR200、#41川井 2'10.952 総合22位/クラス2位。
#77セガミン 2'12.027 総合26位/クラス5位。
前回、5月のアルチャレのリベンジを果たした者、箱替えして仕切り直しで臨んだ者。様々な思いが交錯した今回のKanto Rd.4。年末の統一戦を見据えてポイント争いを熾烈を極めていく後半戦に、今後も目が離せない。
次戦、11/1"杜の都"仙台SUGOで開催(予定)