埼玉県川口市のイタリア車専門店 ースティーレー

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Race Reportレースリポート

 Alfa Romeo Challenge ARC/関東第2戦

『チーム力』

 

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STiLENiA DRIVERS LINEUP

[SR]No.1 上松淳一 No.2 高橋拓也 No.85 八講めぐみ(決勝より昇格)

[SR2]No.11 高梨宏幸

[MR300]No.6 猿渡清司 No.39 西澤嗣哲 No.88 高山雅人

[MR200]No.85 八講めぐみ(予選まで) No.422 内海直亮

[AR150-1]No.15 渡辺幸雄 No.35 須永裕貴 No.100 前田一郎 No.817 河奥晶紀

[AR150-2]No.47 北村寿春

[AR150-3]No.38 笹原敏浩

[AR150-4]No.67 関山淳

[AR150-5]No.155 森本聖

[AR150-6]No.77 瀬上透

[AR150-9]No.37 倉田健

 

[AR200]No.30 猪股義周(145 → MiTo賞典外)

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【待望のドライ!】

 

新緑薫る富士を舞台に迎えたARC関東Rd.2。 関東戦のホームと言っても過言ではない”FSW”とあって参戦車両も各クラス満員御礼のフルグリッド。 大盛況となった。

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肝心の天候は、「スッキリとした五月晴れ」とはいかなかったが、湿気の少ない曇り空。 何ともスッキリしない感じだが、それでも久し振りのドライにエントラントも一安心だろう。 STiLENiAからは全19台がエントリー、大所帯での参戦となった。

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注目は、SR2クラスに昇格した#11高梨。 “ぴたお号”は、慣れ親しんだ156からGT(2.0/5MT)へチェンジして今回がシェイクダウン!!

 

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MR200クラスの#85″めぐみ姫”八講は、ARC初の4Cを持ち込んで来た。

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共にサーキットでの戦闘力は未知数であるが、FSWのストレートを疾走する勇姿を想像するだけで既に興奮を隠し切れない。

#422内海も混戦のMR200で表彰台を目指す。


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MR300クラスでは、#6″SAR”こと猿渡がARCに1年振りの復帰となった。 事前の練習走行で好調なタイムを出した#88高山、冷静沈着なテクニシャン#39西澤との旧友対決も見逃せない。 復帰組と言えば、かつては#6猿渡の好敵手だった#35須永もAR150-1に帰って来た。 愛機156を3.0にスワップした#15渡辺、ヌヴォラの新星#817河奥、このクラスの顔となって来た#100前田が迎え撃つ。

AR150-9の#37″燻し銀のオッサン”こと倉田も156V6から159 2.2に替えARCの舞台に帰って来た。 #47北村は参戦するAR150-2だけではなく、レースAのSTiLENiAを牽引して行く実力を兼ね備えていて、レースコントロールに期待が掛かる。 AR150-3を走る#38笹原、AR150-4の#67関山も拮抗したタイムで競い合う二人だけに白熱したレース展開を予感させる。 AR150-5の#155森本、真紅の155を駆るアグレッシブな勇姿はDTMを彷彿とさせ、今回も観る者を魅了させてくれるだろう。

 

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AR150-6の#77瀬上は、4日前の練習走行でエンジンブローしたが上松の神業で載せ替えが間に合った。

 

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同じく前日のFSWショートコースでエンジントラブルにより、急遽145からMiToでの参戦となったAR200を走る #30″長老”猪股も「賞典外」ながら虎視眈々と上位争いを狙って来るに違いない。

 

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そして最後はもちろん、SRの赤と白。#1上松と#2高橋の”至高のバトル”も見逃せない。 STiLENiAのメンバーだけをみても、スターティンググリッドに着く前に一人一人にドラマがあり、様々な試練やトラブルを乗り越え、 それぞれが色んな想いを胸にスターティンググリッドに整列してシグナルが変わるのを静かに待つ。 そんな一人一人の此処に立つまでの軌跡を見て来ているだけに、これからどんな感動のドラマが待っているのか? 始まる前から自然と胸が高鳴り、期待に胸が膨らむ。


【試されるチーム力】

しかし、そんな大所帯となったピットが何やら朝から慌ただしい空気に包まれる。 先日の日光サーキットの走行会で初お披露目となった#11高梨の”ぴたお号”GTのアイドリングが明らかにおかしい。 前機156からエンジンとMTをスワップし、今回のFSWでシェイクダウンだったのだが、 自走で高速を降りた朝一のコンビニでエンジントラブルが発生!! 連絡を受け直ちにSTiLENiAメンバーが積載車でピックアップに向かう。

 

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ピットで直ぐにテスターに掛けると「ミスファイア」と出た。 「直前までは快調だったのに、何もレース当日にトラブルが出なくても、、、」 上松も憔悴気味に愚痴をこぼす。 考えられる不具合箇所と作業効率の優先度から「イグニッションコイルの不調」と「点火プラグの不良」をチェックするが、 あまり改善の変化が見られず。 残るは「直噴インジェクタノズルの取り外し」。 だが、このエラー箇所の修理作業は、インテークマニホールドチャンバー、サージタンクを外し、アルミインテークマニホールドを外して やっとインジェクターに辿り着くという、正にJTSエンジンの鬼門ともいうべきアクセスし辛い位置にある。 エンジン搭載状態でこの付近の分解作業は非常に作業性が悪く、通常のピット作業でも1日掛かりとなる作業だ。 それを作業環境の整っていないこのFSWのピットで、尚且つ予選までの限られた時間で終えられるのか? 「直すのか?リタイアするのか?」上松も判断に迷うギリギリの決断を迫られる。 ドライバーの#11高梨もチーム全体を気遣い、「他を優先して欲しい。リタイアで良いから」と上松に無理をさせまいと慮る。 「どうする!!」 幸運にもドナーとなるGTがサポート車輌にあった。予選までの時間を逆算する。残り6時間余り、、、 「よっしゃ!直すよ!!」 通常、預かりで丸1日掛かるこの修理作業を上松が「この場でやる!」と覚悟を決めた瞬間だった。 その声にメカのよしあきも動く。

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直ぐさまGT2台をピットに向かい合わせ、エンジンルームをドンドンとバラし始めて行く。 思えば2日前も#77瀬上号のエンジン交換をしたばかりで、上松もよしあきも疲労困憊なはずである。 折角、雨続きだったレース日の天候がドライになったかと思えば、今度はマシントラブルに見舞われる。 万全に準備しても、当日何が起こるか分からない。これがレースの世界である。 このトラブルに起因するように、他メンバーにも細かなトラブルが畳み掛ける。 上松とよしあきもGTの修理と並行しながら、他マシンのトラブルシューティングを並行して行う。

 

 

【メンバー皆で闘っているのかもしれない】

13:14 コース上ではレースAの予選が始まる。 このレースのSTiLENiA勢を引っ張って行くと思われた#47北村がコースに居ない。 プラクティスを終えて足周りに不安を覚え、直ぐに上松に相談していた。 上松もGT復旧の合間を縫ってパドックを試走するが、足周りの動きがどうもおかしい。 「レースは無理だろう」との判断だった。 原因究明とトラブルシューティングが決勝前までに間に合えば「予選を捨て決勝に賭ける」作戦だったが、 FSWでのピット作業では詳しい原因と修理は無理と判断し、大事を取って棄権を選択した。 結果、予選決勝共に無念のリタイアとなってしまった。

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#47北村もまた、人一倍チームに対する愛情と優しさと思いやりが深い男である。 (後日の結果、足周りはアッパーマウントブッシュのヘタリが原因であったが、他にタービンの不具合、 マフラーのフロントパイプに亀裂がある事が判明し「棄権の判断」は英断だった) #47北村が居ないレースAを、#30″長老”猪股、#155森本、#77瀬上が久々のドライのレースを楽しむようにアグレッシブに引っ張る。

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#30猪股 2’13.909 予選総合11位/クラス-位。

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#155森本 2’15.520 予選総合18位/クラス1位。

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#77瀬上 2’15.948 予選総合21位/クラス1位。

“燻し銀のオッサン”こと#37倉田も重い159を操りダンロップを駆け上がって行く。2’17.917 予選総合28位/クラス5位

ツルツルのZⅡから、ピンのKUMHOを投入した#38笹原、 Fブレーキを一新して臨んだ#67関山は

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(“STILE”の彫り文字の入ったブレーキキャリパーが何ともスティーレ愛を感じる!)、 参戦台数の多さ(43台)に気負い過ぎたのか、共に20秒台で予選を終える。

#38笹原 2’20.354 予選総合33位/クラス5位。

 

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#67関山 2’20.476 予選総合35位/クラス2位。

 

【奇跡の瞬間】

ピットに戻ると野戦病院の様相は変わらず、レースB?Cの予選が始まるギリギリまで懸命にGTの復旧に取り掛かっていた。

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リフトもエンジンクレーンも無いピットで、最後はエンジンをずらして直噴インジェクタノズルを外すという荒技? いや神業に出て、何とかエンジンに火を入れる所まで漕ぎ着けた。

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緊張の瞬間。 祈るような気持ちでエンジンスターターボタンを押す。 次の瞬間、力強くセルが回り勇ましいエンジン音を響かせる。”ぴたお号”のアイドリングが正常な音に戻った。 「やったー!!!」 STiLENiAのピットに居たメンバー全員が歓喜に包まれた。チーム皆んなの思いが1つになる。 喜ぶのも束の間、既に他マシンはピットロードを駆け出し、コースでアタックを開始している。 #11高梨と#1上松も急いで装備を纏い、コクピットに収まる。 プラクティスも棄て予選も残り少ない持ち時間の中で結果を出すべく今、2人がコースへ飛び出して行った。

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ついさっきまでエンジンルームがバラバラだった#11″ぴたお号”、 レーシングスーツに着替える間も惜しんで汗だくで懸命に修理に勤しんだ上松。 そんな赤と紺2台のマシンがFSWのホームストレートを駆け上がって来る。 弾ける様なエグゾーストノートを響かせて閃光の矢の如く力強く駆け抜けて行く。 さっきまで戦場の様なピット風景からは想像も出来ない”奇跡の光景”だ。 上松に至っては、レース前の徹夜続きが祟って「今回はレースに出なくても良いかも、と初めて思った」 と口にするほど疲れていた。それにも拘らず本当にタフな男だ。 感慨に耽っている間は無かった。 #1上松も#11高梨もアタック出来たのは恐らく1?2周だった筈だ。

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#1上松は貫禄の1’58.951を出し、予選総合7位/クラス1位。

 

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#11高梨は2’08.912で予選総合35位/クラス3位。 共に予選で結果を出して帰還してきた。

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昨年末、統一戦チャンプの#2高橋はフロントフェンダーを更に拡げ、空力を煮詰めて臨む。

 

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どうもストレートが伸びない。聞けばミッショントラブルで4、5速が入らず6速と3速を何とか繋いで走っていたようだ。 2’01.413で予選総合12位/クラス3位。 上松とのガチンコバトルが楽しみなだけに決勝までに修正して欲しい。 #85″姫”八講は、まだ馴れない4Cを手懐けようと、午前2本、午後1本のプラクティス全てを走り切り、2’04まで詰めてきた。 決して華やかなだけではない、真摯に直向きな努力を重ねるその姿がチームの皆を惹きつけ共感を呼んでいる。 そして、#85八講が予選で叩き出したタイムは2’02.975! 予選総合17位/クラス1位。 プラクティスから2秒も縮めてみせた。 4Cのポテンシャルとそれを乗りこなし引き出した”姫”。これには高橋は勿論、4Cの開発に携わる上松も自分の事のように喜んだ。 急遽、このタイムを受けARCAより決勝レースから「SRへの昇格」を通告される。 #2高橋&#85″めぐみ姫”、”夫婦でSR”の快挙である。 混戦のMR300は、#6猿渡と#39西澤の旧友対決と150-1から汗と努力と練習を重ねステップアップしてきた#88高山。 結果は#39西澤が頭一つ抜け、#88高山が好調を維持し、#6猿渡が久し振りのFSWにアジャスト仕切れずに予選を終える。 決勝もこの3台から目が離せない。

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#39西澤 2’02.262 予選総合14位/クラス3位。

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#88高山 2’03.472 予選総合21位/クラス8位。

 

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#6猿渡 2’04.428 予選総合26位/クラス10位。 #422内海はプラクティスでハブベアリングに多少のガタつきに気付き、上松にしっかりと診て貰い臨んだ予選。 慣れ親しんだライバル達はSR2に上がった今、見据える先は仲間達の背中。 1年前は背中も見えなかった彼らを追い掛け手にしたタイムは 2’09.694 予選総合38位/クラス2位。

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「Sタイヤは潰して走るんだよ」上松のアドバイス通り果敢に攻め、1年振りのドライのFSWを楽しんでいる。 段々と結果が付いてきているよ、”あっず”!

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ETCC耐久や走行会で経験を積みARCタイムアタッククラスを経て、いよいよ#817河奥が満を持して登場した。 スプリントレース初参戦の予選を 2’09.426 予選総合36位/クラス3位は上々の出来だ。 #15渡辺はブレーキキャリパーとローターの干渉が発生したが、”頼れる”よしあきが迅速にバラして再度オフセットし付け直した。 2’11.252 予選総合41位/クラス6位。 #100前田、#35須永は共に今一つ調子に乗れないのか?決勝を見据え様子見なのか? それぞれ11秒、12秒台で予選を終える。

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#100前田 2’11.031 予選総合40位/クラス5位。

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#35須永 2’12.458 予選総合43位/クラス7位。

 

【混戦を極めたレースA】

 

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14:55 迎えたレースA決勝。 #155森本は、集団に揉まれながらも前を走るスパイダー、アバプン、プジョー306を果敢にプッシュし、 サイドバイサイドでも引かない気迫のこもった熱い走りでオーディエンスを魅了した。

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決勝は4ランクアップの2’15.024 総合14位/クラス1位を掴む。

 

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#37倉田、#38笹原、#67関山は、他チームの147、156、ブレラ、ABARTHと混戦のなかチーム内でも差したり差されたりのレースを展開した。

 

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特にダンロップでの攻防は3者が魅せる。先行する#37倉田に対して#38笹原がゼブラに跨がりインから追い縋る気迫の走り。 その後を直ぐ#67関山が追い掛ける。 予選では今一つ調子に乗れていなかったが、それぞれランクアップして決勝を終えた。

 

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#37倉田 2’18.469 決勝総合27位/クラス5位。 #38笹原 2’17.147 決勝総合28位/クラス4位。 #67関山 2’20.377 決勝総合31位/クラス2位。

 

 

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#77瀬上は載せ替えたばかりのエンジンの油温と、ブレーキのタッチにナーバスになりながらも、 156や145、後続の147と抜きつ抜かれつのデッドヒートバトル。 しかし、最終7ラップのヘアピンで、痛恨のブレーキ抜けにより先行する他チームのマシンに無念のクラッシュ。 2’15.551 決勝総合39位/クラス2位。

 

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STiLENiA勢、レースAトップの予選総合11位に付けた#30猪股は先行するMiToやABARTHを追い掛け、 ラインが空いてると見るや果敢に飛び込み、愛機と同じ黄色いボディ(また”長老”に似合うんだなぁ!)のMiToを巧みに操り、 各所でテールトゥノーズのバトルを演じた。

 

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終盤に他チームのマシンとコーナーで接触し、予選から7つ順位を落として決勝を終えた。 #30猪股 決勝総合18位/クラス-位。(車輌変更145 → MiToにより賞典外)

 

【軽さ vs パワー時代の到来】

 

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15:54 タイスケより20分遅れで、レースB?Cの決勝がスタートする。

 

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各マシンが一斉に1コーナーに飛び込んで行く圧巻の光景。 #1上松、#2高橋、#39西澤が、そのあとに#6猿渡、#888高山、#85八講が続く。

 

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決勝グリッドの上位6台はVWA CUPとETCC 500のマシン。 1コーナーなどはスリーワイドも辞さず、どのマシンも負けない引かない。 序盤から手に汗握るスリリングな展開にオーディエンスの興奮も最高潮だ。

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常々、上松が口にする「Alfa Romeo Challengeと冠が付いているレースで”アルファロメオ”が総合優勝取れないのは悔しいよね」の言葉通り、 序盤から先行を許すグリッド上位のマシンに対して積極的に仕掛ける。

 

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ダンロップシケインを赤い156GTAが全開で踏み抜いて行く。フロントのパワーに対してリアのテールが オーバースライドするのを秒速でカウンターを当てながら、続く13コーナーへと力強く駆け上がって行く。 我々を魅了する熱い走りで3ランクアップ。SRクラス1位を果たす。 #1上松 1’58.272 決勝総合4位/クラス1位。

 

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高橋はミッショントラブルに手を焼いた。予選で使えなかった4、5速は決勝前に調整したが、決勝では新たに6速に入らないトラブルが発生。

 

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それでも上松同様、ダンロップでは3.8Lの咆哮を轟かせ怒涛の追い上げを見せ4ランクアップ。 SRクラス1・2フィニッシュを決めた。

 

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#2高橋 1’58.933 決勝総合8位/クラス2位。 4Cを駆る#85″姫”八講がプラクティスと予選を経て、この決勝で更に躍動した。 ミドシップというこれまでのFFアルファロメオとは明らかに挙動の違うマシンを、この短期間にキッチリとアジャストしてみせた。

 

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4CがARCに参戦している今までのアルファと明らかに違うのはホームストレートの最高速度とブレーキングが挙げられる。

 

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SRマシンだと1コーナーのブレーキングポイントの目安は150m看板辺りが目印だろうか? それに対し4Cは、ホームストレートを優に最高速240kmを超えるスピード出しておきながら、 ブレーキングは100m看板を過ぎてからガツンと踏んで、十分に減速し1コーナーを綺麗に旋回していく。 ホームストレートを駆け抜けて行った後ろ姿を目線で追い掛けると、1コーナーが目前に迫るというのにブレーキランプが点かない。 他のマシンでは既に踏んでいないといけないタイミングより更にもっと奥でやっとテールが赤く光った。 軽量ボディのアドバンテージとターボの加速力が異次元の速さを生んでいる。 コーナーを鮮やかに抜け、トラクションが掛かってからの加速も圧倒的に速くサーキットマシンとしての ポテンシャルの高さを垣間見せる4Cの”鮮烈なオーラ”に息を飲む。 ベースマシンとしての潜在能力の高さにARCの勢力図を塗り替える新たな時代の幕開けを予感させた。

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#85八講は2’02.363決勝総合21位/クラス4位(MR200→SRクラスへ昇格)。 決勝でも白(#6猿渡)、赤(#39西澤)、青(#88高山)の147GTA3台が手に汗握る白熱のバトルを展開してくれた。 “新三つ巴バトル”と名付けても良いのかもしれない。 #39西澤が序盤から#6猿渡、#88高山を引き離し先を走る他チームの147GTA(#860)を追い掛ける。 2’00フラットで周回を重ね、遂に147GTA(#860)をオーバーテイクするも、終盤で後ろに付かれたプレッシャーと タイヤの熱ダレから最終コーナーでスリップに付かれ1コーナーでアンダーを出したところを逆転されてしまう。

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最終ラップ、プリウスコーナーで捕捉圏内に入り最後のワンチャンスと賭け、最終コーナーで仕掛けるも大アンダーを出してしまい、 そのまま終戦。 ハンドルを叩いて悔しがる姿がなんとも気持ちが熱い! オーバーテイクはならなかったが3ランクアップはお見事。 SRを走る#2高橋からの「SRでも大丈夫なのでは?」のコメントは最大級の賛辞だ。

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#39西澤 2’00.633 決勝総合11位/クラス2位。 昨年はAlfa Romeo Challengeをお休みしJAF戦に賭けた#6猿渡。 今年は二足の草鞋で頑張ると、この舞台に帰ってきた。 予選は調子が今一つだったが迎えた決勝も序盤は集団に埋もれていたが、終盤に入ると徐々に力強さが戻って来て、9ランクアップ!

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タイムも予選から2秒縮め、面目躍如となった。#6猿渡 2’02.483 決勝総合17位/クラス7位。 今回、ファイナルを変更した事でレギュレーション上、AR300→MR300へクラス変更した#88高山。

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本人も「AR150-1+αの戦闘力ですわ」と謙遜する。 その言葉通り、内装もドンガラではなく余分なシートを外しただけのボディに 馴れないSタイヤを履き、MRの猛者達を相手に挑む。 思えば、レースがしたくてSTiLENiAの門を叩きAR150-1に飛び込んで来た。 「オジサンは腕が無いから、物でタイムを買うのよ? 」と屈託のない笑顔を見せる。 実はその陰で人一倍練習を積んでいるのをチーム皆んなが知っている。 そんな#88高山がドンガラMRマシン勢に一歩も引かず真っ向勝負を挑んでいる。

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調子を掴んで徐々に追い上げをみせる#6猿渡とのダンロップでの烈しい攻防。 インを差されたらアウトから被せる! 同門同士でも?だからこそ?互いに譲らない気迫の走りには、魂が揺さぶられた。 モータースポーツは年齢に関係無く走る者の心を童心に還らせる。 それはレース後の高山の言葉に端的に表れている。 「SARさんや西澤さんの胸を借りて、久し振りにレースデビューした当時の新鮮な気持ちで一生懸命走れたことが嬉しかったよ!」

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並み居る強豪を相手に2ランクアップはひとえに努力の賜物である。 #888高山 2’03.450 決勝総合19位/クラス9位。 SR2を走る#11高梨は、ほぼぶっつけ本番でシェイクダウンとなってしまった。 予選は拮抗する同じSR2のライバルが2’05台の中、3秒落ちの予選結果。理由は幾つかあるだろう。 エントラントがフルグリッドでクリアが取れなかった。 GTのマシンとしての仕上がりがまだ途中だった。肝心の#11高梨自身がニューマシンにまだフィットしていない。 しかしそこは”P様”。普段から言い訳などしない気風の良い男だ。 朝一のトラブルから、今こうして決勝のグリッドに立てる喜びを噛み締めている。 懸命に修理に当たった上松に報いる為に。自分の事のように心配してサポートしてくれたメンバー皆んなの為に。 そして何よりサーキットをこよなく愛する自分の為に。 色んな気持ちを携えて、サーキットの路面にニューマシンで新たな軌跡を描き、クラス3位でフィニッシュした。

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#11高梨は、2’07.646決勝総合31位/クラス3位。 このレース展開を待っていた男が一人居た。 #422″あっず”内海である。MR200でしのぎを削った盟友達と今また近い位置でバトルが出来ていることが嬉しい。 「自分はずっとコレがしたかったんだ!」と言わんばかりに”あっず号が”生き生きしている。 特に序盤は混戦状態だったのもありサイドバイサイドでコーナーを駆け抜け、積極的にインを差したり存分にバトルを楽しんでいる。 少しでも見える位置で一緒に走っていたい。自然と#422内海の右足にも力が入る。 それを物語るようにストレートエンドのトップスピードは”あっず号”最速の207.692kmを刻んだ。

 

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レース中盤以降もライバル達は背中が見える位置にいる。 苦手なコーラを果敢に飛び込み、100Rの横Gに辛抱しながら、続くヘアピンをブレーキングしながらアプローチ。 そのまま裏ストレートの300Rを全開で駆け抜ける。

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ダンロップシケインでライバル達の背中が大きく映る。 プリウスに続くテクニカルセクションを力強く登って「さぁ最終コーナーを駆け上がってホームストレートで勝負だ!」という瞬間、 突如エンジンルームから「ボンッッ!!!」という音と共に白煙が上がる!!! 痛恨のエンジンブロー。コース脇に何とか寄せるが無念のリタイア。

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レース後、あっずも「サーキットに街乗りに、良く頑張ったよね?」と相棒だったエンジンを労った。 7年10万キロ走った”あっず号”のエンジンが寿命を全うした。

 

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#422内海 2’08.891 決勝総合41位/クラス3位。 AR150-1も新旧世代が犇めく激戦区となった。 ニューカマー”TUTU”こと#817河奥が、頭一つ抜けたグリッドをアドバンテージにクラス3位の位置をキープしながら快調に飛ばしている。 #15渡辺は3.0にスワップしたエンジンが好調なのかストレートの伸びが良い。

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そしてこの男”元AR150-1チャンプ”#35須永だ。予選では#100前田と並び調子が今一つだったが、 周回を重ねる毎に調子を上げて予選より1秒タイムを縮めている。

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前田も決勝ではリズムを掴み、1秒タイムアップするも、終盤まさかのエアフロ故障でエンジンストール。コースアウトしリタイアとなった。 #817河奥がレースデビューで2’09台を叩き出し、クラス3位キープは確実と思われたが最後に波乱のドラマが待っていた。

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最終ラップのコーラ、#817河奥は前を走るメガーヌRSをオーバーテイクしようとオーバースピードで突っ込み、 インから差そうとステアリングの舵角を切り過ぎイン巻きのスピン! そのままコースアウトしクラッシュパッドまで僅か数センチで止まるも、その間に#15渡辺、#35須永がパスして行く。

 

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“レースデビューで表彰台”はお預けとなってしまったが、3位に甘んじること無く果敢にチャレンジしたアグレッシブな姿勢は メンバー一同が讃える熱い走りだった。

 

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#15渡辺 2’12.307 決勝総合35位/クラス3位。

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#35須永 2’11.696 決勝総合36位/クラス4位。 #817河奥 2’09.937 決勝総合37位/クラス5位。 #100前田 2’10.447 決勝総合40位/クラス8位。

 

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決戦が終わり陽も沈み暮れ、全ての片付けが終わったピットに佇む。 そこからコースを眺めると先程までの喧騒が嘘のようにひっそりとしている。 誰も居ないピットを吹き抜ける富士の夜風が心地良い。 今日に賭け今日に臨んだ一日が終われば”全ては夢のあと”なのかもしれない。

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次戦は”真夏の祭典”、Idlers 12h耐久!今年はどんなドラマが待っているのか?

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