Race Reportレースリポート
AlfaRomeo Challenge 2017 Final CHAMPION CUP in FSW
『 Survival 』
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STiLENiA DRIVERS LINE UP
CHAMPION CUP
RACE C
[SR]No.39 西澤嗣哲
[SR2]No.13 高梨宏幸 No.422 内海直亮
[MR300]No.3 木村隆哉 No.88 高山雅人
[AR300]No.11 伊藤由明
[AR150-1]No.15 渡辺幸雄
RACE A
[AR250]No.321 原田好成
[AR150-2]No.59 國生政義 No.100 前田一郎
[AR150-3]No.38 笹原敏浩 No.63 奥口隆弘
[AR150-4]No.607 関山淳
[AR150-5]No.155 森本聖
[AR150-6]No.510 後藤芳弘
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【全てはこの日の為に】
凛とした空気が頬を射す。
どこまでも晴れわたる空の色は、透きとおるぐらい青く、なだらかに映る稜線のコントラストは、まるで富士が空に張り付いているようにも見える。
吸い込んだ空気の冷たさに、改めて今日は"特別な日"なんだと気づかされ、靴紐を締め直す。
今年も"日本一"の称号を手にする為に、全国から最速の蛇遣いが、FSWに集結した。
8:30からのドラミにDr.達が消え、ピットでは、メカのもみっぷが、忙しなくマシンの調整をしている。SSTもかつじぃを筆頭に、じーやま、はいぱー、tutu、あずぱー、飛雄も駆け付けてくれている。そこに今年の統一戦を見送ったアゲマツもいる。拓ちゃんも多忙を極め不参戦となっており、STiLENiAからのSRクラスエントリーはヒデヨシ一人となって、寂しい限り。
年間ランキング上位のみが参戦資格のあるCHAMPION CUPに、STiLENiAからは15名がエントリーした。
【RACE C エントラント】
最速の称号、SRクラス。
熱い闘志を胸に秘め、常に冷静沈着で安定感のある走りの#39 ヒデヨシ。この大舞台、アゲマツもたくちゃんもいないSTiLENiA SR勢の期待を背負い、表彰台に期待を懸ける。(関東・東北2位)
SR2クラス。
総監督として今シーズンもSTiLENiAを引っ張った#13 P様(GT2.0JTS/MT改)。年間Rd.関東2位。SR2クラス2016年間チャンピオンの維持をみせ2連覇なるか?
今シーズンもKanto.Rd3.優勝が分水嶺となり、年間Rd.関東3位で掴んだ赤紙の招待状。#422 あっず(156JTS)も今シーズンはマシンの調子に左右され、満足したシーズンとは言えず。その鬱憤をこの統一戦にぶつける。
MR300クラス。
"鬼斬(おにぎり)Monster" 統一戦前にもアゲマツ同伴のマンツーマンで、FSW攻略に勤しんだ#3 きむー。(関東4位)
#88 高山(147GTA)。昨シーズンは療養し、ブランク明けの今シーズン、それを取り戻すかのように毎回気迫のドライビングで見事年間Rd.関東1位に輝いた。「車も人もかなりガタがきて、正直今シーズンが最後かなぁと」この統一戦も観る者を熱くさせるドライビングを披露してくれるに違いない。
AR300クラス。
普段は頼れるStileの敏腕メカ、#11 ヨシアキ(GT3.2)。自分のマシンメンテは後回しに成らざるを得ないなか、メカの合間を縫って参戦したポイントで掴んだ関東2位。(東北1位)
150-1クラス。
コンスタントにシーズン前半は参戦出来ていた#15 コジパパだが、後半は仕事が重なり統一戦の切符が危ぶまれた。しかし、東北参戦の遠征ポイントで関東4位をゲット。その統一戦も例年仕事で出られなかったのだが、今年は都合がつき念願の参戦と相成った。御殿場に前泊する気合の入れようで晴れ舞台に臨む。(東北1位)
以上がレースCとなる。
【RACE A エントラント】
AR250クラス。
gtv3.0を駆り、スポット参戦でARCを楽しむ#321 原田。効率良く2戦で稼いだポイントで年間Rd.関東3位。奥様のアミカさんからの熱い声援を受けRACE A総合優勝に期待が掛かる。
参戦台数の多い150-2クラス。
関東Rd.3で魅せた予選クラス6位からの終盤の追い上げで掴んだクラス3位の表彰台。赤い156の熱い走りがまだ鮮明に焼き付いている#59 國生。東北Rd.の遠征ポイントも含め、見事年間Rd.関東3位。昨年はChallenge cupでの参戦だっただけに、おめでとうと言いたい。(東北1位)
クラッシュによる箱替えを機に、駆動系への負担を考え、ラジアルクラスへ戻って来た#100 イチロー。激戦区の150-2クラスを、重量級の166を軽やかに駆り、年間Rd.関東6位に滑り込んだ。
150-3クラス。
テクニシャンが多く激戦の150-3クラス。同門ライバルのグッチーと鎬を削る#38 トッシー(145TS)。遠征にも積極的に参戦し年間Rd.関東3位を掴んだ。(東北2位、中部3位)
序盤はマシントラブルに泣かされノーポイントを重ね、意気消沈していた#63 グッチー(156JTS)。その後は"袖森マイスター"の異名通り着実にポイントを重ね、見事、年間Rd.関東1位に輝いた。(東北1位、中部2位)
150-4クラス。
年初は「今シーズンはお休み」と宣言していたような気もする #607 セキジュン(147TS)。気がつけばシーズン中盤から参戦しハッスルした。お孫さん誕生含め私生活が賑やかなダンディおじいちゃん。150-2クラスに継ぐエントラントの多いこのクラスで、年間Rd.関東2位で臨む。
150-5クラス。
今シーズンはマシンの不調に泣かされ、終盤エンジン載せ替え等の大幅なアップデートを施した155マイスター、#155 モリリン。年間Rd.関東1位を引っ提げ、絶好調のマシンと共に"日本一"を獲りに行く。
150-6クラス。
今シーズンからARCに本格的に参戦した#510 ごっちゃん。レースを重ねる毎に、経験と実績を重ねてきた。見事、栄えある年間Rd.関東1位の称号を手に、統一戦に果敢に挑む。
【渾身のアタック】
穏やかな陽気。コース上のアクシデントもなく、午前中のプラクティスから、タイスケは順調に進んでいる。続くRACE A、Cの予選アタックは、それぞれ午後から開始という事もあり、エントラントも慌てる事なく、思い思いにその決戦に備えている。
13:00。いよいよRACE Aから予選アタック開始。
エントリーは28台。
AR250クラス、#321 原田がアタック前の慣熟走行でSタイヤが滑り、リアバンパーが大破する憂き目に遭う。駆動系他にダメージはなくそのまま続行出来たのが幸いだ。その状態から2'06.038を出し貫禄のPP。
150-2、#100 イチローが2'08.650で、総合2位/クラス1位。安定感が付いて来た感がある。
150-3、#63 グッチーが2'09.928で、躍進の総合5位/クラス1位。
結果、STiLENiAがPP、そしてフロントローに収まり、続く決勝が楽しみである。
150-各クラス、赤(モリリン)、黒(セキジュン)、黄(トッシー)のSTiLENiAオッサンチームの明暗は。
150-5、#155 モリリンが予選から勢いがある!2'12.651を出し、総合13位/クラス1位を捥ぎ取った。
150-4、#607 セキジュンは2'16.751で総合23位/クラス3位と、クラス表彰台を狙える位置。
150-3、#38 トッシーは予選アタック1周目、1コーナーを2→3速にシフトアップするも吹けなくなり、13コーナー大外のエスケープゾーンで静かに止まった。痛恨のエンジンブローの憂き目に遭い、決勝リタイア。同門ライバル、グッチーとの対決も楽しみだっただけに残念だが、もう一台、赤145での早期復帰も考えているらしいので、直ぐにサーキットに舞い戻って来てくれるだろう。
150-6、初統一戦の#510 ごっちゃんは、2'18.994。総合25位/クラス2位から、クラス優勝を狙う。
13:32。レースC予選アタック、スタート。
SRで一人気を吐く#39 ヒデヨシは、アタック5LAP目で1'58.164を出し、総合4位/クラス3位。
エントリー30台中、上位6台は2分切りのタイム。TOP10をSRとMR300勢が占め、プライドがぶつかるハイスピードバトル。
SR2は、#13 P様が2'05.703で総合16位/クラス3位。
#422 あっずは、2'08.621で総合23位/クラス6位と出遅れた。
しかし、予選を終えた2台の調子がおかしい。ぴたお号は、1&4速が壊れたらしく大事を取って涙の決勝リタイア。あっず号も予選途中で1気筒死んだ感じに。予選を途中で切り上げ、アゲマツにコイルやプラグを換えて貰うが変化なし。「多分メタルが逝ったんじゃないか?」との結果に決勝を泣く泣く諦めた。2台とも無理して決勝を走っていたら、コース上にオイルをブチ撒けてしまう可能性もあっただけに、止める勇気の英断を称えたい。
MR300クラス。
#88 高山が躍動する。今年一年、レースに復帰した喜びを噛み締めるように軌跡を描く。2'01.823で総合8位/クラス3位。
#3 きむー、2'03.684で総合10位/クラス4位と続く。
AR300クラス、#11 ヨシアキ、2'07.297で総合20位/クラス4位。
150-1クラス、#15 コジパパ、2'13.732で総合27位/クラス5位。アゲマツ号から移植した赤いFRPボンネットが銀色のボディに映えている。
レースA・C共に、決勝を待たずにリタイアが多くなってきた。
正にサバイバル。
やはり、富士には魔物が棲んでいるのだろうか?
例年、波乱含みとなる統一戦の舞台。
「最高の舞台を、最高の状態で走らせてあげたい。」
誰もがそう願いながら、今年もまた波乱の幕開けとなった。
【天使のいたずら】
長針は予定時間を越えたところを指している。14:38。タイスケから5分遅れている。
エントリー28台に対し、リタイアとなった#38 トッシー以外の27台のマシンが決勝のグリッドに並ぶ。
RACE Aスタート。
PPの#321 原田とフロントローの#100 イチローの前をスルスルと幸先良く飛び出したのは、#36"小犬"MiTo QV 藤本選手。そのまま1コーナーの先頭をきって抜け出していく。
【魔がさす】
その後ろを#63 グッチー、#155 モリリン、#59 國生が続いていく。
3LAP目の1コーナーでは、#321 原田が#36 藤本選手の背中を捕え始める。観戦ポイントをダンロップに移動しようとした矢先、後続の#155 モリリンが、その先に続くコーラで、痛恨のシフトミス。気持ち良く回るエンジンに乗せて、3速全開から4速にシフトアップする筈が、2速へダウン。エンジンブローでリタイアとなってしまった。総合シングルも十分見えていただけに、残念な結果となってしまった。本人も「せっかくスティーレに仕上げて貰った完調なエンジンを壊してしまい、情けないやら悔しいやらで、コーラでヘルメット被ったまま泣いていた」と。アゲマツも「直ぐにまた復活させますよ!」と力強い言葉を掛けていた。
レースは終盤に差し掛かる。ダンロップに移動すると、#321 原田gtv3.0が、#36 "小犬"MiTo QV藤本選手の前にいた。
その後ろ、3位に#100 イチローがつけ奮闘していた。5位には#53 MiTo 1.4Tを攻めあぐねる、#63 グッチー156 JTS。直ぐ後ろには2.5V6を駆る#19 "ガレ1/1"藤下選手が猛追して来ていて手に汗握る攻防を繰り広げている。
#59 國生と#607 セキジュンは、順調にオーバーテイクを重ねジャンプアップしている。
#510 ごっちゃんが、ロケットスタートを決め、1コーナーを大外から一気にオーバーテイクするも、その後、単独スピン。後続マシンのクラッシュがないのが幸いだったが、これにより最下位まで沈む。最後まで諦めずに果敢にチャレンジするも、2'20.858↘︎ 決勝総合26位/クラス4位と表彰台を逃した。
最終LAP、またしても#321 原田に魔がさす。オーバーテイクした#36 藤本選手と遊ぼうと、前を譲る。あと2LAPあるから、また抜きつ抜かれつを楽しもうと考えていた。しかし周回数を勘違いし、あっさりとレース終了。勝利の女神がスルスルと原田から溢れていった。ピットに戻るとアミカさんからも、「バンパー壊したのに、優勝も(LAP数間違えて)逃すなんて、信じられな〜い!」と責め立てられている。当の本人ではないから、そのやり取りがなんとも微笑ましい。2'05.517↗︎ 決勝総合2位/クラス2位。表彰台は2位だったが、AR250クラスに留まらず、RACE A全体でも最速の、"Fastest Lap"の称号を手にしたのだから、お見事!おめでとう!
#100 イチロー 2'08.045↗︎ 決勝総合3位/クラス1位。嬉しいクラス初優勝&クラスFastest。あれだけ楽しみにしていた炭酸ファイトだったが、表彰式を待たずに帰還してしまったため、次回にお預けとなった。
充実したシーズンだったのではないだろうか。150-3の#63 グッチーである。2'09.099↗︎ 決勝総合5位/クラス1位。年間クラスチャンピオンでの統一戦制覇。クラスFastestもおめでとう。
#59 國生 2'11.809↗︎ 決勝総合14位/クラス6位。予選時よりベストタイムも順位も上げた。
#607セキジュン 2'16.640↗︎ 決勝総合19位/クラス2位。レース中盤までは快調な走りを披露。2LAP目に予選LAPを更新。総合順位も上げ、嬉しいクラス表彰台を掴んだ。
【混沌の1コーナー】
15:32。ARC 2017シーズン最後のシグナルが点灯する。暮れなずむ夕陽がコース上に長い影を落とす。
ホームストレートのグリッドに整列したマシンを見る。ちょうど、2台の白い4C側と156GTAと147GTA側が縦に並び、さながら新旧対決の様相を呈している。
スタートと共に、ロケットスタートで飛び出した"レジェンド" #7 小西選手の156 GTAがPPを獲った"シーズン完全制覇"の#5 藤井選手の4Cを引き離し駆け抜けていく。
予選4位の#39 ヒデヨシも3位の#30 加藤選手の4Cとツーワイドで1コーナーへ入る。
その後続では、#88 高山、#17おの金選手、#3 きむーが三つ巴の接近戦で雪崩れ込んでくる。
新旧マシンもクラス違いも色違いも、全てが渾然一体となって、闘志をマシンに託し、コーナーのその先へ飛び込んでいく。
続く中団では、#11 ヨシアキがイン側を、#15 コジパパはセンターをツーワイドで、1コーナーに入る。大外にはもう2台並走しており、圧巻のフォーワイドの大混戦。
【とにかく前へ】
1コーナーで抑えたはずの白MiToに300Rで、ABARTHにはダンロップで、共にアウトからパスされた。右足に力を込める。プリウスから続く最終コーナーをがむしゃらに駆け上がっていく。先行する2台はアウト寄りを縦走している。スリップストリームに付いている白MiToを捕える。1.4と3.2。コーナーでは軽やかに交わされたが、ストレートではアドバンテージとなる。轟音と共に置き去りにし、その前を行くABARTHに照準を合わせる。1コーナーが徐々に迫ってくるというのに、青いマシンはアクセルを緩めない。ABARTHのイン側に並ぶと同時にブレーキングしながら1コーナーをツーワイドで搔き切っていった。
#88 高山の青い147GTAと#3 きむーのABARTH、#17 おの金選手 白MiToの魂のぶつかり合い。白熱した接近戦に鳥肌が立つ。
誰もが出し惜しみすることなく、この一瞬に懸けていた。
そんな#88 高山にアクシデントが襲う。3LAP目の1コーナーでセレトラブルに因るギア抜けで「N」になってしまう。退避エリアでイグニッション、オフオンで無事コース復帰を果たすが、手痛いタイムロスとなってしまう。
その後も決して腐る事なく、アグレッシブに果敢に攻め続けた。観る者の心を打つ直向きなドライビングだった。2'02.546↘︎ 決勝総合20位/クラス4位。(暑い時も寒い時も献身的に付き添ってくれた奥様にも「おつかれさま」と伝えたい。)
高山、おの金選手との好バトルを演じた#3 きむーも、終始、力強く安定したドライビングで、ライバルに競り勝ち終えた。予選よりもベストタイム、総合順位も上げ、嬉しいクラス表彰台を掴む。"天才肌"と言われた男の完全復活と言っていいだろう。2'02.427↗︎ 決勝総合8位/クラス3位。
#11 ヨシアキ、終始前を走る同クラス #52 gtv3.2 野村選手との大接戦を制し、2'05.852↗︎ 決勝総合16位/クラス2位。
#15 コジパパ、予選を終え凹んでいたようだが、決勝はスタートに集中し、前にも絡め、終盤は高山とのバトルも楽しんだ。惜しくも表彰台は逃したが楽しく終えた様子である。2'08.234↗︎ 決勝総合22位/クラス4位。
STiLENiA SRクラス最後の砦、#39 ヒデヨシは前後を白い4Cに挟まれながらも、取り零すことなく、LAPを重ねていく。終盤2位を走っていた#7 小西選手がアクセルワイヤーが切れリタイアすると、そのままなんとか2位を死守しチェッカーを受けた。1'58.568↗︎ 決勝総合2位/クラス2位。4Cとの戦力差は埋めがたい差があるようにも感じるが、集中力を切らさず最後まで諦めずにドライビングした結果に、心から賛辞を贈りたい。
【ARCA レースresult】
CHAMPION CUP
2017シーズンはARCの転換期、後年この史実を振り返った時、ターニングポイントとなったと言われる年になるだろう。マシンの新旧世代交代、エントラントの高齢化問題。差し迫ったように見える問題はあれど、「大好きなアルファロメオでサーキットを全開で走る。」その単純明快な動機が、そして間口の広さと敷居の低さが、我々を魅了してきたことは決して色褪せない。
それぞれのエントラントがサーキットに非日常と居場所を求めて集まってくる。しかしその非日常の光の部分を求め輝くはずのサーキットで、時には人生でも起きない悲運がエントラントを襲う時もある。結局のところ、サーキットもまた人生の縮図なのである。だからこそ全てのエントラントにサーキットで浴びるべき光と陰、正に人生同様のスポットライトがあると思っている。
各エントラントが、それぞれの想いを胸に臨むアルファロメオチャレンジ。一瞬という刹那に懸け、煌めく瞬間に邂逅する時、そこには光も影も渾然一体となって光り輝く。2018年も眩ゆい光と陰が織りなす魂の軌跡を見つめていきたい。
関東Rd.1は2月11日(日)筑波にて開幕戦を迎える。