Race Reportレースリポート
ETCC2017 vol.2 FUJI-1day Special in FSW
『広がる絆』
**********
DRIVERS LINEUP
Endurance 4.0h
[TR3000]No.205 木村隆哉(きむぅー) 上松淳一(アゲマツ) 河奥晶紀(tutu) 西澤嗣哲(ヒデヨシ)
[TR3000]No.203 高田康史(もみっぷ) 渡辺幸雄(コジパパ) 猪股義周(長老) (奥口隆弘→)山路健史(じーやま)
[TR1000]No.212 天野憲太郎(アマケン) 藤田徹(とーる) 乙部博則(otb) 長谷川順一(ハセジュン)
サポート 西尾孝弘(240) 入江保(タモツ) 小野純平(Jp)
**********
サポートに駆けつけたぴたお監督が、レース終盤、呟く。
「2位のチームと周回差何秒?これ、総合1位行けるんじゃないの?」
ABARTHのターボモデルで挑む、"スティーレ・ターボ使ってる方"#205が、開始から快調にlapを刻み、気がつけば、総合2〜3位に位置をコンスタントにキープしている。
前日までの雨模様もなんとか持ち直し、雲は多いがドライとなったFSW。午後から始まる耐久レースに、スティーレから3チームがエントリーしている。
"耐久を仲間で楽しく走りたい"をモットーに毎年参戦しているこのETCC 4.0耐久。
「まさか、総合優勝狙えるなんて思ってなかったから、綿密な作戦立ててなかったなぁ」アゲマツもこの展開に欲を出す。
"オニギリmonster"ABARTH500のきむぅーがスタートドライバーを務め、
アゲマツの124スパイダーはラジアルにもかかわらず、2'05.00を叩き出す。
"TH302号"ABARTH500のtutuが繋ぎ、
ヒデヨシがコンスタントに周回数を重ねる。
アンカーはアゲマツに託す。
既に各チームがアンカーの準備に入っている。ヒデヨシもアンカーのアゲマツにタスキを繋ぐべく、相手チームを上回るラップタイムを刻み、124スパイダーを駆っている。
総合1位を走るAUDI R8チームは、マシンハンデ22周減算を与えられ、実質総合2位のチームが総合優勝を狙えるレース展開となっていた。
しかしその直後、波乱のレース展開となる。
1コーナー手前で単独クラッシュがあり、メガーヌR.S.2.0がホームストレートで佇んでいる。
この4.0h耐久で初めての赤旗が振られる。
コース復旧まで、各マシンがピットロードに帰還し整列し待機している。
「この赤旗中断で、せっかく追い上げようとしたタイム差が縮まらなくなったから、周回数を抜くのが難しくなったなぁー」
それでもアンカーのアゲマツに、オーバーテイクを託す。
そして、スティーレのピット内では、もう1つのチーム、アルファロメオのV6で構成された"スティーレ・自然吸気の方"#203がドラシャ交換に追われている。メカのよしあき、第2スティントを終えたばかりのもみっぷも加わり、突貫で復旧に当たっている。
もみっぷは、この耐久で初めてアルファロメオを駆る。
相棒を務めるマシンは、伝説のアルチャレMRマシン。初代アゲマツ号となる156 V6 3.0改。
2012年まではじーやまがアルチャレに参戦し、SRマシンを喰う程の戦歴だった。
スタートドライバーと第5スティントは、"長老"猪股の156 V6 2.5。給油口が開いてるのはご愛嬌。
第2スティントとアンカーは、アルファロメオデビューのもみっぷ。
第3スティントは、体調不良で急遽キャンセルとなった奥口から代わった、じーやま。
第4、6スティントはコジパパ、156 V6 3.2改。
"長老"猪股は、ドンガラ初FSWの感触を楽しむようにラップを重ね、
もみっぷは伝説のマシンと相性を図るよう対話しながら、
じーやまは且つての相棒との時間を取り戻すように、
コジパパは、リタイア続きだったFSWを払拭する躍動した走りをみせた。
そうして紡いだ各ドライバーの気持ちを襷に繋ぎ、迎えたアンカー、もみっぷ。
伝説の赤い156も、無事にドラシャ交換を終え、最後のスティントを待っている。
コジパパが慣れないメロンパンを水で流し込む。
食べ終えると同時に、マシンに火が入る。
もみっぷが力強くピットロードを駆け抜けていった。
毎年気の合う仲間で参加している"Team GT"#212。今年はショップの垣根を越えて、フラミンゴからアルチャレに参戦している#240こと西尾くんと"アマケン"こと天野くんを迎え、GT2.0オンリーのチーム体制。
エントリー直前に西尾が米出張となり、エースを欠くなか、アマケンがエースドライバーを務め、とーる・otb・ハセジュンを引っ張る。
タモツ、Jpがサポートに回り、全員で"怪我なく事故なく楽しく"をモットーに表彰台を目指す。
SR2クラスでGT2.0を駆る、ぴたお監督も減衰や空気圧設定のアドバイス含め、レース前の緊張をほぐすように声掛けして回ってくれている。
全エントラント2番目のピットスタートを、スタートドライバー兼エースドライバーとなるアマケンが1コーナーへ飛び出していった。
TRクラスは、ゼッケンの貼り替えとポンダーの付け替えをするが、それぞれのエントラントがチームワークを発揮し、コース上で熱戦を繰り広げている。
開始から20分過ぎ。アルチャレ経験者のアマケンが徐々にベストラップを更新し、総合1位に躍り出る。耐久序盤の"瞬間風速"とはいえ、これには"Team GT"全員が歓喜!
米出張中の西尾からも、戦況確認のメールが来る。毎年メンバーが増えていくが、息のあったチームワークで、ドライバー交代をこなしていく。
大きなマシントラブルもなく"Team GT"が確実に襷を繋いでいく。
とーるは、今年も家族が観戦に駆け付け、一身に応援を浴びる。毎年この耐久だけは走ると決めてエントリーしている。
otbはこのチームの為に、毎年デカールを作成してくれていて、今年は"Team GT"の結束を鼓舞するオリジナルのTシャツまで作製してくれた。
ハセジュンも、この日までチームリーダーとして幹事役を買って出てくれて、取り纏めに奔走してくれた。レースに懸ける意気込みも相当で、タイヤをこの晴れの日の為に新調し、DUNLOP ZⅢを投入して臨む。
西尾も、当日米出張で抜けてしまう穴を埋めるかのように、エントリー手続き、FSW攻略のアドバイス等、労を惜しまずにアドバイザー役を務めた。
そして、胸に並々ならぬ熱い闘志を秘めて、この耐久に臨んだアマケン。
2016シーズンのアルチャレを以て、一旦サーキットを休止することを、レース後にメンバーに話してくれた。
「実は、この耐久でFSWを走るのがラストなんです。今日でサーキットを一旦卒業します」
色々な思いが交錯して、それぞれの気持ちを乗せて、襷というゼッケンを背負って、一瞬という永遠を駆け抜ける。
ゴール時間まで残り30分。
"ターボ使ってる方"はアゲマツ、"自然吸気の方"はもみっぷ、"Team GT"はハセジュンが、アンカーを務める。16:50のチェッカーを目指して、ラップを刻む。薄暮がかるコース上のマシンは全車ライトオンとなっている。
16:50過ぎ。各車の完走を労うようにチェッカーが振られる。
どのピットからも、歓喜と労いの掛け声が聞こえる。各マシンもパッシングで応え、ピットを通過していく。
ハザードを焚きながらそれぞれのピットに帰還してくるマシン達。スティーレのピットに戻って来る3台のマシン。
ピットにいるメンバーから祝福の声を浴びながら全員で完走の喜びを共有する。
この4.0耐久には、毎年それぞれにドラマがあり、それが思い出となり、絆が深まりその輪が広がっていく。
いつだってサーキットで繋がることが出来る。
レース結果と各チームのベストラップは、
[TR3000]
#205 "スティーレ・ターボ使ってる方"
2'05.011
総合2位/クラス2位。 101周。
#203 "スティーレ・自然吸気の方"
2'05.951
総合4位/クラス3位。 99周。
[TR1000 ]
#212 "Team GT"
2'15.329
総合15位/クラス2位。 88周。
【ETCC レースresult】