Race Reportレースリポート
Twinring MOTEGI
『STiLE PRiDE』
idlers Games 12Hours Endurance 2015
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STiLENiA DRIVERS LINEUP
[プロジェクトリーダー]上松淳一
[STiLENiA総監督&11号車監督] 高梨宏幸
[110号車監督&ITサポート] 高山雅人
[マネージャー] 猿渡清司
[アドバイザー] 内海直亮
[SSTリーダー] 伊藤由明
MiTo (11号車) "コマネチ号" #101
[Dr./ドライバー]
上松淳一 (age)
高橋拓也 (たくちゃん)
猿渡清司 (SAR)
大谷飛雄 (とびお)
西澤嗣哲
川井聖一
高梨宏幸 (ぴたお)
156TSセレ (110号車) "耐久号" #110
[Dr./ドライバ-]
高山雅人
内海直亮 (あっず)
高橋めぐみ (めぐりん)
入江保 (タモツ)
須永裕貴 (すなっち)
渡辺幸雄 (コジパパ)
國生政義
瀬上透 (セガミン)
内村未広 (ミヒロ)
山路健史 (ジーヤマ)
伊藤由明 (よしあき)
[SSTサポート]
[ガソリン買い出し ]
西野昭彦、 長谷川亨
[給油11号車]
原田好成、 河奥晶紀 (tutu)、 長谷川順一 (ハセジュン)
[給油110号車]
北村寿春 (きたむー)、斎藤克治 (かつじぃ)、山本貴孝(ノンパパ)
[計時]
深野泰章 (はいぱー)
内田恵介 (ウッチーナ)11号車
乙部博則 (otb)110号車
保科健司
小野純平 (Jp)
[メカニック]
伊藤由明 、高田康史
[記録(写真)]
小西秀宗 (コニタン)
[メット・給水・介護]
まみちゃん(2223)
あず
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[静寂の中でその時を待つ]
午前3時。STiLEのWorksマシン2台が、明かりの灯ったピットに静かに佇んで、その時を待っている。
年に一度の真夏の祭典、"idlers Games 夏の12時間耐久 "。
そう、またこの場所に帰って来た。ドライバーもサポートもそれぞれがSTiLEの誇りと自信を胸に、最高の瞬間を刻んでゴールに懸ける。
モテギを舞台に暑くて長い1日が始まろうとしている。さぁ、12時間の先にどんなラストが待っていて、どんな熱いドラマが展開されるのか?
["STiLE"の名の下に]
午前4時。今年もSTiLENiA総監督の高梨を筆頭に、各Dr.、SST(Stile Support Team)が続々とピットに集結する。
総勢35名を超えるメンバーが"STiLE"の名の下に駆け付けてくれた。ありがたい援軍だ。各自が分担し手際良くピット設営が進められていく。
午前6時。idlersの公式ブリーフィング後、11号車、110号車の各チームごとにドラミ開始。注意事項と戦略、モテギ攻略のアドバイス等、情報の共有化を図る。
その間、給油、計時、ガソリン買い出し部隊の各係りも手順確認に余念が無い。
午前7時半。ピット車検をパスした其々のマシンが手押しでグリッド整列に向かって行く。
Dr.もSSTも一緒になって押して行くお馴染みの儀式である。マシンを押しながらチームがより一つになっていく。
今年は全エントリー95台中、11号車が66番グリッド。110号車が48番グリッドからのスタートとなった。
其々が緊張と興奮が交差する胸の高鳴りを抑えながら、モテギのホームストレートの路面から伝わる感触を一歩一歩、祈る気持ちで踏み締める。
[昨日の自分のラインを超えて]
午前7時50分。スタートDr.だけを残して全員ピットエリアまで退避。
11号車は飛雄が、110号車はあっずが務める。ホームコース上の各マシンのスタートDr.が装備を纏い、其々の闘志を胸に秘め、静かにその時を待つ。
緊張と不安が交錯する中、ピットの仲間達を想い"皆んなで戦っているんだ"と、独りドライビングシートに身を沈めながら、気持ちを強く持つ。
オフィシャルのアナウンスと共に、各マシン一斉に火が入る。シグナルが青に変わる。荒ぶる咆哮を鳴らしエグゾーストを響かせて、ローリングスタートが切られた。
次々とチェッカーラインを加速しながら跨いで行く。
こうして今年もまた暑くて長い、STiLEの熱い12時間のドラマが始まりを告げた。
[圧巻のオーバーテイク]
午前8時。今回本気で"優勝"を目標に掲げて、高みを目指す11号車のDr.は、飛雄-ぴたお-拓也-川井-SAR-西澤-ageで臨む。
序盤に燃費を気にせずアタックを掛けて、一気にシングル上位を目指す作戦。ある意味、この第1スティントが、11号車のその後のレース展開を左右し、明暗を分けると言っても過言ではない。この大役のスタートDr.を任されたのは飛雄だ。そんな重責の掛かるミッションを飛雄が見事、完璧なスティントをやってのける。走り慣れたこのモテギのコースを開始早々から格の違う圧巻のオーバーテイクショーを披露する。開始から40分過ぎには12位まで怒涛のランクアップ。MiToのファニーな見た目とは裏腹に、ドライビングはクレバー、そしてアグレッシブに、次々と上位マシンを料理していく。"飛雄"の名の通り、サーキットを鮮やかに躍動し、そのポテンシャルを余す事なく最大限に発揮した。ローリングスタートからのレースモードへのスイッチの入り方、ライン取りやプッシング、全てが"異次元過ぎる"そのドライビングをモニター越しに見ながら言葉が出ない。その走りはまるで神が宿っているかの様に神々しい。飛雄史に残る圧巻のスティントだった。
この第1スティント、最終的に59ランクアップして7位に躍り出た。
[STiLEという"誇り"と"矜持"]
110号車のDr.は、あっず-めぐりん-高山-すなっち-ジーヤマ-コジパパ-國生-タモツ-セガミン-ミヒロ-よしあきと"STiLENiAオールスター"で臨む。
12周/人×2スティントというシンプルな作戦。スタートDr.は、久し振りに12耐ドライバーとして名乗りを挙げた、あっず。
今回は、プロジェクトリーダーの上松、総監督の高梨の少しでも助けになればと、チームの"アドバイザー"としても名を連ねる。
元来、率先して人前に出てリーターシッブを取るタイプの男ではない。一歩引いてアシストするのが性に合っているはずだ。そのあっずが、今回の耐久では打ち合わせや準備の段階からDr.やサポートを纏め上げ、前面に立ってチームを引っ張っている。
(愛娘のあずも「皆んなで気持ちを1つに」と願いを込めて、全員分の手作り"ミサンガ"を作ってくれた。)そんな個性溢れる110号車のDr.達を束ね、背中で魅せる頼もしい男に変貌を遂げた。チーム監督の高山からも全幅の信頼を受け、スタートDr.を託された。ペースを維持し他マシンとの接触を避け、"抜きどころ"、"抜かせどころ"のレース経験を生かして、スタートの混戦状態から抜け出すこと。緊張と不安の交錯するスタートDr.という大役、馴れないローリングスタート、全ての重圧をタスキを繋ぐ11人のDr.の結束力と、SSTの熱い想いを胸に、見事にその重責を果たした。
[チームを1つに鼓舞する]
午前8時半。110号車は、めぐりんがタスキを受ける。実はめぐりん、このチームに並々ならぬ決意を以って臨んでいた。それは前夜の食事会でのこと。席上で徐に"思いの丈"を吐き出した。
「なんかさぁ、MiToが"1軍"で、156が"2軍"みたいな言い方されて、あったま来ちゃう!レースは何が起きるか分からないし、去年みたいにBチームが上に行く結果になる事だってあり得るんだから〜!そしたらMiToのAチームはダーリン含めて、全員Bチームに土下座だからね〜♪」
朝のチーム別のドラミでも、
「ウチのチームが"2軍"みたいに言われて、舐められて許せない!皆んなの力を結集すれば上位狙えるし、絶対負けられないわよ!チームの皆んな〜"打倒MiTo"だからね〜!!」
と発破を掛け110号車のDr.の緊張を解し、チームの結束力を鼓舞した。全員アルチャレ経験者だがモテギは慣れていない者も居る中、この言葉でDr.達は勇気付けられたしチームが1つに纏まった。
そんなめぐりんの第2スティント。まだ混戦状態が続くレース展開の中、監督の要望に応え期待通りのペースUPでタスキを繋いだ。
[背中で魅せる]
午前9時。11号車、第2スティントは、飛雄からバトンを受けた、"ぴたおちゃん"。このidlers 12時間耐久にSTiLE Worksの総監督兼Dr.として3年目の参戦となる。普段から寡黙で控え目な性格だが、誰よりもSTiLE、そして上松の事を考え、周りをこの頼れる背中で引っ張っている。名実ともに「STiLE総監督」である。今年狙うは"総合優勝"。そんなぴたおの"結果に賭ける"意気込みに、並々ならぬ決意を感じ、次第に周囲も感化され、そして呼応しチームが1つになっていった。
当然、上位を狙うからには、ピット作業の1つでもおざなりには出来ない。
20Lのガソリン給油缶2つを空にさせる事無く絶えずガソリン買い出しに走る西野と長谷川。昨年もこの役目を買って出てくれた2人である。そのガソリンを給油サポートの原田、tutu、ハセジュン、きたむー、かつじぃ、ノンパパが毎回給油が必要なMiTo11号車に確実に、且つ素早く給油する。
その間、計時のJpがストップウォッチで5分間のピットストップを抜かり無く計り、カウントダウンの声出しを掛ける。Dr.交代はピットストップ4分後以降。最初の2分で給油を終え、ジリジリと長い残りの2分間を待つ。その間、第1スティントを走り終えた飛雄と第2スティントを走るぴたおは、互いにヘルメットを被ったままで、11号車のタイヤ、ミッションなどの状態や、サーキットコンディション、他チームのマシン状況などを手短に且つ的確に伝えている。
「Dr.交代、15秒前〜!!10…9…8…」
4分ジャストに直ぐさま乗り込む。次を走るDr.含むサポート要員3人がピットストップ5分間の残り1分を使って6点ベルトを締め上げたり、完璧にサポートを熟す。
5分後から作業可能なエアチェックとトルクレンチ作業をメカのよしあきと高田が1分で完璧に終えて、6分ジャストでイグニッションを捻りタイムロス無くピットロードを駆け出して行った。飛雄が稼いだ"順位を零さず"に、且つ"燃費もセーブしながら"というミッションを忠実に遂行し、ピットストップで一旦21位まで落ちた順位を、快調に周回を重ね取り返す。総監督としてもDr.としてもチームの皆を引っ張って行く。
午前9時半。残り7周余りで14位までランクアップ。
午前9時50分。完璧なスティントを熟し8位まで取り返す。
午前10時。続く第3スティントを、たくちゃん、第4スティントを川井が繋いで行く。
たくちゃんは公私ともに多忙な中、"純粋に仲間とレースを楽しみたい"と忙しい合間を縫っての参戦。川井もMiToの特性を自分のモノにしようと事前のFSWショートやモテギでの練習に精力的に顔を出し努力を重ねて来た。たくちゃんも川井も第2スティントのぴたお同様、"燃費をセーブしつつ順位キープ"というミッションを確実に遂行して行く。安定した走りでピットアウト時の16位から7位までプッシュし、川井へ繋ぐ。
午前11時。そして川井のスティント3周目の時に、今レース初めてのSCが入る。LOTUSクラッシュ、PORSCHE炎上と全コース上がイエローフラッグ。ぴたお監督の素早い判断で"ステイ"。ピットモニターとラップロイドに表示されるコース上11号車の位置を確認する。そのまま周回を重ね続けさせる。結果45分の走行予定を59分まで引っ張り、川井の体力とガソリン残量がギリギリのスティントとなったが、13→6位とSTiLE史上"最高位"まで上がって来た。
[仲間を信じて託す心]
110号車の第3スティントは高山。Dr.としてはこのスティントのみとなる。今回は監督としても110号車チームを引っ張り、全チームのITサポートも引き受けた。各マシンにはラップロイドを搭載し簡易モニタリングシステムを構築したピットの様相はまるでWorksチームさながらである。三足の草鞋を見事に熟した高山は、他のドライバーの繋ぎ役としてレースを作り、燃費とタイヤを労わる走行に徹してDr.としてもしっかりとその役目を果たした。
続く第4スティントすなっち、第5スティント、ジーヤマと、スプリント馴れしたクレバーなDr.を並べて来た。高山監督が前半の勝負に出る。本格的に暑くなってくる時間帯の前に少しでもランクアップを狙う作戦だ。クラッシュを避け燃費を気にしながら、ペースUPを図り隙を窺いプッシュする。共に快調に2'35.秒前後で周回を重ねて行く。すなっちは2年振りの耐久エントリー。前回は体力が持たずに緊急交代した苦い経験がある。今年は前泊入りして万全の体調で臨む。ジーヤマも2年振りのDr.参戦。昨年はSSTに徹し「来年はこのサポートの中、Dr.として走りたい」と仲間と共に走る喜びを噛み締めて、純粋に思いっきりサーキットを、そしてこのレースを楽しんでいる。スティント後は疲労感の中にも少年の様な笑顔を魅せる。31位。
午前11時。その後を繋ぐのは、第6コジパパ、第7國生の12耐初参戦組だ。コジパパは、「STiLENiAの皆んなと耐久で一緒にタスキを繋ぎたい」と遠い新潟からこのモテギに駆け付けた。國生もFSWの練習走行会にも参加し、同じ気持ちでDr.に加わった。そんな2人の回に110号車の試練が重なる。コジパパは、ピットアウト直ぐにSCが入る不運。直ぐにSC解除となるも、11号車のピットイン時間と重なる為に僅か9周のみのショートスティントとなった。
午後12時。國生の方も、初出走で緊張もあったのか他マシンと左後ドアを接触し僅か7周で緊急ピットイン。
接触の影響確認と併せてハンチング気味だったエアフロを念の為交換する。此処でまた監督、高山が積極的に動いた。予定外のピットイン時間の為、Dr.も思い切って第8スティントのタモツに交代の策を取る。
["99"を気持ちで繋ぐ]
午後12時10分。モテギのコースを暑い陽射しがジリジリと肌を突き刺して来る。心の準備も儘ならないまま、タモツがピットロードを駆け出して行った。前者2人が想定外のショートスティントだった為、与えられたミッションはペースUPの役割と持ち前のアグレッシブさで1つでも順位をUPする事。真上にある照り付ける太陽からの灼熱の放射線をものともせずに、相性が良いこのモテギのコースを軽快に周回を重ねて行く。そろそろピットインサインを出すラップ数になって来て、またもや11号車とピットインが重なる事が判明する。「どうする?」ピットクルーを始めSSTが高山監督を見守る。ラップロイドに刻まれていくタイムとサインボードエリアを通過する110号車のタモツの顔を窺い見る。「よっしゃ、"99"出して!」"ステイ"のサインである。この暑い時間帯にそれを出す事は、Dr.の体力含め難しい判断だったが仲間を信じてタスキを託す。計時係のotbが直ぐさまサインボードをコースいっぱいに掲げて、"頑張れ!"と想いを届ける様に伝える。ピット前のホームストレートを通過して行くDr.シートのたもつもサインエリアに見える様に"サムズアップ"で応える。ピット、サインエリア、Dr.、皆んなの気持ちが1つになった瞬間だった。「全員で戦っているんだ。」その後も"99"サインが続き、4周ものピットスルーに耐えてくれたナイススティントだった。38位。
[軌跡を紡ぎ襷を繋げる]
6位までランクアップした11号車。第5スティントはSARが繋ぐ。ピットにある時計の針は午後12時を指していた。開始から4時間余り。12時間という長くて儚い一瞬に賭けるこのレースも気が付けば1/3が経過していた。SARはリタイアとなったJoy耐に続き二週連続のモテギとなる。自身はこの12耐をリベンジとか雪辱とかそんな事を考えていない様子。Joy耐のサポートに駆け付けた川井、はいぱー、ジーヤマ、西澤、Jpと年々増えていくSTiLENiA勢が、あのJAF戦の雰囲気を肌で感じて、それを各人がこの12耐等にフィードバックしているのが純粋に嬉しそう。確かに去年より皆の意識が確実に変わって来た気がする。レース開始から此処までDr.、SSTが各持ち場を完璧に熟して、トップ争いのレース展開をしている。それを肌で感じ目の当たりにしてみて、初めてSARの狙いを理解する。もしかしてSARという男は少し先の未来を見据え、STiLEという器が更に大きく逞しくなる為に考え行動していたのだ。そのSARが夢の続きを愉しむかの様に軌跡を紡ぐ様に、仲間を想い信じてタスキを繋ぐ。午後12時43分。10位。
午後12時51分。15位。第6スティントは西澤。実はぴたお監督の作戦、"辛抱の燃費スティント"を一番忠実に実行してみせた。アルチャレでも垣間見せる冷静沈着な走りでコンスタントに2'33.前後を刻みながら11位でageに繋げる。
[思い描いていた夢]
午後1時。容赦無く陽射しが照り返し陽炎となる灼熱の時間帯。110号車の第9スティントにお祭り男の"タフガイ"セガミンを投入。ペース維持の役割を熟して2'37.台を重ねて12周30分を走り切るも、スティント後、軽い熱射病になり大事を取る。31位。
午後1時43分。 一巡目最後となるageが満を持して第7スティントに降り立つ。モテギのホームストレートにある"Leader tower"。Poleから19位まで表示されるこの表示塔に多少の順位変動は有りながらも落ちること無く#101が表示されている。
「いつかこの12耐で、Leader towerにウチのチームのゼッケンナンバーがずっと載ったまま走り切って、チェッカーを受けたいよね〜」
そう話していたageの夢が、皆んなの想いが、今こうして現実となって眼前でドラマチックに展開されている。1年前では考えられなかった奇跡の光景だった。ageの真摯にレースに賭ける想いが、STiLEに集う一人一人の個の力が、一歩一歩ながらも着実にレベルアップした賜物だからだろう。
Dr.6人で6時間余り走ったSタイヤは終わり掛けている。それでもピットストップで14位まで落ちた順位を20分過ぎには11位に戻し、ラスト3周にはシングル7位まで意地のプッシュ。終わったタイヤでタイムを落とすどころか皆んなの期待に応えてみせた。ぴたお監督も「今回の12耐、実は一番勝ちに拘ってるのは、あいつ本人だよ」とageの秘めた闘志を口にして盟友を労った。
午後1時39分。セガミンに続き灼熱の時間帯を若いミヒロで凌いで行く。持ち前の若さとアグレッシブさで猛プッシュ。2'32.台を連発し、勝負所の時間帯を乗り切った。30位。
午後2時16分。いよいよ後半へ折り返し。110号車のDr.も2巡目に入り、第11スティントあっずがペースUPを、第12スティントめぐりんが、タレ始めたタイヤを労りながら、第5スティントで信頼のドライビングを披露したジーヤマが第13スティントで繋いだ。Dr.もマシンも暑さと疲労がピークになるこの時間帯を凌ぎ、高山監督の期待に応えた。ここで110号車も、やっと想定ペースに帳尻が合って来る。32位。
午後2時31分。ピットが慌ただしくなる。11号車のageが魂のスティントで7位で帰還し、第8スティントの飛雄の前に、予定通りタイヤ交換。メカのよしあきと高田の息の合ったコンビネーションで1分40秒で素早く終える。外したタイヤは剥離掛かっていて、交換のタイミングはベストだった。
第1スティントで鮮烈なドライビングを披露した飛雄が2周目に2'25.出した以降、2'31.前後で伸び悩む。暑さからマシンも今一つなのか?サインエリア通過時パッシングして何かを知らせている。計時のウッチーナが見逃さなかった。「11号車の様子がおかしい!ピットイン来るかも。ピットクルー準備してー!」言葉通り飛雄がピットロードに入って来る。僅か30分、10周でのピットインだった。
「すみません。予想外に燃費が悪くて"emptyランプ"が点いたのと、ミッションの3速が終わったっぽいです。弾かれて入りません、、」ぴたお監督とage、次のDr.たくちゃんにそう告げる。その間もピットクルーは、エアチェックとトルクレンチ作業を1分で済ませ、第9スティント、たくちゃんに繋げた。
午後3時17分。たくちゃんがミッションを労り燃費も気にしながら、2'35.前後で11位から8位までプッシュ。
午後4時16分。11号車、第10スティント川井の時点でついに3速が終了する。タイムも上がらずに僅か10周でピットインする。9位。
午後4時36分。110号車、第14スティント、コジパパ。前スティントがほぼSCだった事も有り、とにかく周回を重ねて貰う。無事に12周を走り切って安堵の表情を浮かべた。ここで、思い切ってFタイヤとFブレーキパッドの交換に踏み切り勝負に出る。27位。
毎スティント後、タイヤ、パッドの状態をみていたメカのよしあき。パッドがもう保たないこと、此処からプッシュしていく事を鑑み、急遽Fタイヤの交換も提案した。素早くブレーキパッドの交換に入った。
午後4時50分。110号車、第15スティント國生。交換したパッドのアタリ付けとタイヤの皮剥きを熟して、28位。
午後4時51分。11号車、第11スティントSAR。燃費を気にしながらも予想以上の燃費落ちに苦戦しながらも8位。
薄暮に落ちていく黄昏のモテギ。全車ライトオンのアナウンスが鳴り響く。泣いても笑っても残り3時間余り。
コースに視線を投げると、11、110号車共に12時間の軌跡から零れる事なくタスキを繋ぎ紡いでいる。
午後5時24分。110号車、第16スティント、タモツ。ガソリン給油無しで勝負にに出る。25位。
午後5時44分。11号車、第12スティント西澤。燃費を気にしながらもぴたお監督からプッシュの檄が飛ぶ。8位死守、205LAP。
午後6時21分。110号車、第17スティント、すなっち。急遽体調を崩したセガミンの代役をきっちりアジャストしてみせる。貫禄の2'31.台のラップを叩き出す。これを見た高山監督、11号車とのピットインが重なる事もあり、"99"サインを指示。すなっちも雪辱を果たす様に、3回出された"99"を含め、落日のモテギに軌跡を描いた。22位、195LAP。
午後6時35分。11号車、第13スティントぴたお監督が燃費落ちを気に掛けながらも、気迫溢れる怒涛のプッシュ!2'28.前後で周回を重ね8位で、最終スティントのageに全てを託す!
午後6時45分。110号車、第18スティント、ミヒロ。さぁここからラストスパート。高山監督から「とにかく思い切って行って!」と檄を飛ばされ、どんどんプッシュしていく。ピットインのサインを見落とす程に気持ちが入った熱いスティントだった。そして110号車も初めてLeader towerの18位(写真は19位時点)に浮上する。STiLEの2台が表示される快挙の瞬間だった。
モテギのコース上に漆黒の夜が落ちている。
午後7時19分。11号車はいよいよ最後の第14スティント。ageが飛び出して行く。2'30.前後で周回する8位のageを、10秒も速い9位を走るエキシージが猛追してくる。
午後7時36分。110号車も最後の第19スティント。アンカーをよしあきに託す。高山監督がプランニングした想定LAPを11人のDr.とSSTのサポートで此処まで完璧なレース展開。
午後7時49分。ラスト10分前。全員の魂が1つになってエンディングが近づいて来る。ageとよしあき2台のマシンが続けてビクトリーコーナーを駆け上がって来る。2人を送り出した全員がサインエリアまで駆け出している。フェンス越しに張り付き、言葉にならない感情を思いの丈をホームストレートを通過して行く2台のマシンに絶叫する。
マシンのライトがこの先にある希望を照らしホームストレートを真っ直ぐに貫いて行く。
午後8時。そして終にチェッカーフラッグ。
全員がピット前で11号車のage、110号車のよしあきを出迎える。いつの間にやら、ピットにはペットボトルに入った水が並べられ、手荒い歓迎の準備万端である。サインエリアのはいぱーがピットに向かって叫ぶ。
「11号車が来るぞ〜!」
降りて来たageも一体いつ仕込んだのか?水着である。
「110号車、よしあきも来たよ〜!」
歓喜の歓声で讃え、喜びを全員で分かち合う。
皆、遠慮なく、水着姿のageとよしあき、飛雄の3人に水を浴びせ、誰もが抱き合い全員で掴んだ完走とシングルの結果を噛み締める。
倉田率いる"463号車"も帰還し、ピット前に誇らし気な顔で並ぶ3台のSTiLEのマシン。全車が完走する快挙だ。ふとピットから見上げたLeader towerには、燦然と8位#101が光り輝いている。
信じて努力した結果が、こうして身を結び、最高の結果をSTiLEにもたらした。
歓喜の余韻がいつまでも心に積もり落ちる。
公式result
全出走台数 94台
STiLENiA Works 2台
①スティーレMiTo 11号車 #101
総合8位 246LAP
Endurance-2クラス 5位/62台
②スティーレ156 110号車 #110
総合21位 232LAP
Endurance-2クラス 15位/62台
サポート by Stile
③スモーキーしろみみ号 #463
総合31位 222LAP
Endurance-2クラス 20位/62台
このidlers 12耐、参戦史上最高の成績を残したにも関わらず、誰一人として泣いていなかった。
この結果に満足する事なくSTiLEが見据える先は更に高みを目指している。
"STiLE PRiDE"
来年もまたこの場所で、どんなドラマが待っているのか。この仲間達ならきっと乗り越えられる。
上松から皆様へ。
「STiLEに関わる全ての人に感謝します」(STiLE代表 上松淳一)